現在の混沌とした社会の中で、過去の歴史から学び取れることは多々あります。
コインも同様ですが、コイン=貨幣学というものは、経済、お金について今までの過去の歴史から学び取れることが多数あります。
その中でも、コインの歴史を語る上で、「古代ローマ帝国」を中心にその周辺を語ると、様々なことが見えてくることになります。
「古代ローマ帝国」・・・人類史上、最も豊かで平和であった超大国であり、現代文明の基礎となったと言われます。
元々小国であったローマの1都市国家が如何に、どのように繁栄し、何故滅びることとなったのか?2018年現在も未だ様々な発掘作業と共に様々な学者が解明している中ではありますが、まずは、大まかな歴史変遷を年表にてご覧頂ければと思います。
◆繁栄した理由は何だったのか?
何と言っても一つは、「軍事力」でありましょう。
そして、元々略奪と侵略を繰り返していた時代から、技術力が発達し、その軍事力を維持拡大していくシステム=「規律」が確立されていた事。また、領土を獲得した際に、力で、武力で侵略することから、その侵略地にローマ帝国都市を築き、街を「統治」していくことになる=ローマ帝国化することによって得られる自由と平和。
町は、現代の都市の基礎ともなり、上下水道を完備し、裁判所や闘技場、浴場があったことは映画でも有名な話でありますが、いわゆる「平等」と「平和」な時代に突入する。=パックス・ロマーナ(ローマの平和) これが、人類史上最も平和で豊かであった、とも言われるほどでありました。特にローマ市民は豊かという次元を超え、食料は無料、不安のない生活を保障され、更には贅の限りを尽くすという状態でありました。
また、ここで注目したいのはその「財政」です。これらシステム化された政策や都市国家の整備の裏には、財源の確保が必須でありますが、ここに「貨幣」制度とその資源である鉱山の存在があります。古代ローマ帝国では、数々の鉱山から金銀を発掘し、造幣所で様々な貨幣が鋳造されることになります。
そして、この鋳造貨幣の元を辿ると、さらに数百年前の事実が存在します。それが、世界最古の貨幣と呼ばれる「リディア王国のリディア スターター金貨」と呼ばれるコインであります。その以前にも、地金、地銀での取引はあったものの、貨幣としての形状と重さを統一し始めたのは、このリディア金貨だと言われています。
さらに、そこから注目したいのは、古代ローマ帝国の約300年前のマケドニア、ギリシャ地方に現れる、マケドニア王の「フィリッポス2世」と、その子である「アレキサンダー」であります。
この頃、まさに鉱山から大量の金銀を発掘し、アレキサンダーの時代に大きさと重さを均一化したコインを大量に発行します。そして、数十年で築き上げたアレキサンダーの広大な領土で扱われるようになります。この莫大な資金があったからこそ、短期間でこれだけの領土を制服する軍事力と統率力となったと言えるでしょう。
アレキサンダー王時代前後のスターテル金貨
表はアテナ神が描かれています。
もっとも有名な古代金貨の一つ
アレキサンダー王時代前後のスターテル金貨
裏は勝利の女神ニケを描いています。
アレキサンダー時代前後のテトラドラクマ銀貨
表面はヘラクレス=アレキサンダー自身を表現、裏面は最高神ゼウスが描かれています。
アレキサンダーが数十年で拡大した領土
ギリシャの代表的なテトラドラクマ銀貨
表面はアテナ神、裏面はフクロウ(知恵と夜のアテナ神を映し出す)
シチリア島のデカドラクマ銀貨
4頭立ての馬車(=クヮトリガと呼ばれる)を描いたコインで、このデザインは近代コインにも採用される原型となっているコインである。
この頃のギリシャ地方での鋳造技術、造幣局、鉱山を活かして、古代ローマ帝国の貨幣も進化を遂げていくことになります。
古代ローマ帝国では、これら莫大な資源を元に、圧倒的な「軍事力」と、そのシステムによって超大国へと発展していくことになるのです。
領土は南は北アフリカ、北はイギリス北部まで⇒イギリス北部のハドリアヌス帝の作ったハドリアヌス城壁は今でも観光地として有名ですね。
特に、初代アウグストゥスの統治から始まり、有名なネロ、5賢帝時代頃までのAD200年頃までのローマ帝国=パックスロマーナ 時代は様々な都市国家を築き、人口は最大時に5000万人とも6000万人とも言われ、まさに世界最大の国家となったわけであります。
そして、これら皇帝は圧倒的な国を運営する為に、統治国家からは税金を徴収する。そしてその市民からの指示を得ようと、ショー(見世物)を開催する。これが有名なコロッセオを代表とする闘技場であります。当初は市民の憩いの場であり活気のある場所でありましたが、見世物は徐々に過激になり、末期には単なる殺し合いの場となっていくようになってしまう。これは“贅沢”という環境下に見る人間の性の変貌を感じてしまいます。
ただし、この税金の徴収がなかなか上手くいかなかったと言われています。徴税請負人=今でいう国税局の人間が賄賂で富を肥やしていったと言われています。
国家が大きくなる傍らで、足元の統制が取れなくなっていく・・・この「賄賂」と国の様相は現代の中国によく似ていると思うのは私だけでしょうか?
◆滅びた理由は何か?
超大国も賄賂という統制がうまく取れないことを含め、市民はあまりにも豊かであり贅を肥やしていた為、富を増やすものと、堕落していくものと、貧富の格差が広がっていく ことになります。
また、AD200年頃から、強みである軍事力を維持する軍事費を賄うために、貨幣の銀の含有量を少しずつ減らしていく ことになります。
初代皇帝アウグストゥス時代の銀貨:銀含有量98%(純銀)
有名なカラカラ皇帝(212-217)時代:銀含有量約50%
アウレリアヌス皇帝(274年)時代:銀含有量約5%
このように約200-300年の間に貨幣の銀含有量は低下した。そして、経済はハイパーインフレともいうべき、インフレ状態に陥り、不安定な状態となっていくのであります。
貧富の格差から、お金の価値を下げることで、国家財産を増やし、経済を活性化させようとする。これは現在の日本、アメリカをはじめとする先進国の経済情勢に似ていると思いませんか?
そして、AD395年ローマ帝国は、内乱を経て、東西に分裂し、一時代を終えることとなります。
本来100ページあっても足らない程の内容を抜粋していますので、物足りなさもありますが、2000年前の古代ローマ帝国から学ぶ事はあると感じて頂ければ幸いです。そして、この詳細はまたホームページ&映像で近日公開して参りたいと思います。
そして、ユニバーサルコインでご紹介させて頂くコインの数々はこれら時代の中で、様々な詳細の歴史を語るべくコインを、それも状態の良いものに絞って、資産価値としても高いコインをご案内して参りたいと思います。
人類の2000年前の歴史から、これから将来の事を予測しつつ、楽しみながら知識を資産を増やして頂ければ幸いです。
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